望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

漁夫の利

 こんなコラムを2001年に書いていました。

 台湾の李登輝元総裁の訪日により日本は対米外交上のカードを一枚失う。

 日中の対立が激化することはアメリカにとって好都合だ。アメリカのアジア外交の基本には、日中を仲良くさせないことがある。クリントン政権は中国重視・日本軽視で、ブッシュ政権は中国敵視・日本重視と、どちらにしても日中を離反させようとすることでは一致している。

 日中が親密になるならアジアにおけるアメリカの影響力や存在感は低下するが、日中が対立するなら、日本はアメリカの支えを求め、アメリカの影響力は増す。

 アメリカが日本に無理な注文をつけても、日中が対立している時には、日本はアメリカの言うがままにならざるを得まい。日中が対立することは日本の対米従属外交を補強する。

 今回の李登輝氏訪日問題において、日本のマスコミは人道問題へと世論を誘導した。これは、単に思慮が浅かったのか、それとも、なんらかの意図に基づいて誘導が行われたのか。どういう仕掛けだったのか、知りたいな。