「渡島半島から青森北部にかけてマグマが地下にあり、温泉の熱源になっている可能性が高い。この地域には温泉が多く、日本でも有数の地熱地帯だ。この地域は通常の2〜3倍の熱量で、地下の浅いところに熱源があることを意味する」(鹿部町HP。一部修正)。渡島半島には駒ヶ岳、恵山、日本海の渡島大島の火山があり、青森には八甲田山、岩木山、むつ燧岳、恐山、十和田の火山がある。
地下に熱源があるので渡島半島や青森には温泉が多く、青森県には酸ヶ湯、浅虫、蔦、奥入瀬、不老ふ死、大鰐、鯵ヶ沢、黒石、十和田湖畔、青荷、薬研など多くの温泉があり、秘湯と言われる温泉もあって、全国の温泉ファンに知られている。青森市内にも温泉はあって日帰り入浴施設が多くある。
渡島半島にも温泉は多く、温泉施設がある市町村は多いが、全国から観光客が訪れる温泉街は湯の川温泉以外になく、温泉旅館があっても小規模な数軒があるだけだったりする(津軽海峡がなければ首都圏などから多くの温泉ファンが訪れて、もっと賑わったかもしれない)。その代わりに町営などの日帰り温泉施設が各地にあって、ドライブがてら温泉を楽しむことができる。
函館市内では湯の川温泉が全国的にも有名で、熱源は5万年前に噴火した銭亀沢火山のマグマの余熱とされる(銭亀沢火山は、函館市の沖合2kmの海底にある火山)。また、函館山の山麓にある谷地頭温泉も温泉ファンには知られており、民営化されたが以前と変わらぬまま営業している(熱源は約100万年前に噴火した函館山火山のマグマとされる)。
銭亀沢火山のマグマと函館山火山のマグマが熱源となって、その熱は地中で四方に伝わるだろうから、函館市内ではおそらくボーリングして地下水にあたれば温水が出てくる。だから函館市内には日帰り温泉施設が多く、天然温泉を使う銭湯もある。水道水を使う銭湯も各地にあるので、日帰り温泉だからと集客が容易だというわけではなく、日帰り温泉施設も増減を繰り返す。
函館市では、湯の川温泉のホテル雨宮館、笑函館屋、ホテルかもめ館、KKRはこだて、大黒屋旅館、ホテルテトラ、湯元啄木亭、海と灯、ホテル万惣、湯の浜ホテルで日帰り入浴ができる。市街地で現在も営業している日帰り温泉は、昭和温泉、鍛治温泉、山の手温泉、乃木温泉、にしき温泉、湯元花の湯、北美原温泉、谷地頭温泉、花園温泉、湯元漁火館などで、函館東部の恵山や川汲にも日帰り温泉がある。
日本には入湯客が多い箱根や別府、熱海、草津などをはじめ温泉が全国各地にあるが、北海道の温泉地数は日本で最も多く、延べ宿泊利用人数も日本で最も多い。昨年、道内各地を訪れた観光客のうち92.5%が道民だった。パンデミックによる行動制約の影響が大きいのだが、以前から道内観光客に占める道民の割合は大きかった。おそらく道内の温泉を訪れる人々の多くも道民なのだろう。冬の寒さが厳しい北国に住む人々への自然の恵みが、各地に多くある温泉なのかもしれない。