望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

函館周辺はバス旅の宝庫

 通勤や通学などに利用される路線バスだが、路線バスを乗り継いで長距離旅行したり、都市内や近郊などを小旅行したりするテレビ番組が増えた。公共交通機関として人々に身近な路線バスが、非日常としての旅行の手段にもなると周知させた功績は大きいが、いざ路線バスで旅行しようとすると、路線図や時刻表を手に行動予定を事前に決めることになる。

 テレビ番組のようにタレントが行き当たりばったりで行動すると、路線によっては乗り継ぎバスの待ち時間が長すぎたりするので、食事や観光、日帰り入浴などを組み合わせて旅行のルートを事前に決めるのがいい。ただし、運行予定時刻よりも遅れるのが路線バスの常だが、ほぼ時刻表通りに来ることもあるので、時間に余裕を持たせつつ時刻表に基づいて移動スケジュールは立てたほうがいい。

 列車を使った旅番組は以前から多かったが、路線バスを使って移動するという枠組みを認知させて、旅番組の新機軸を打ち出し、バス旅を周知させたテレビ番組。だが、列車なら車内にトイレがあることが多いが、路線バスにはトイレがないので、乗車して移動する時間は2時間程度が限度だろう。適当に乗り継いで、あちこちで観光したり食事したりするのがバス旅の魅力か。

 都市内に限定するバス旅なら1日乗車券を利用するのがいい。例えば、東京なら23区内の都営バスを1日に何回も乗車できる乗車券があり、休日などに「どこかに行きたい」と急に思い立った時に、予定を立てていなくとも自由に動き回ることができる。のんびりと眺める路線バスの車窓に映る風景は、旅先の風景だと思って熱心に眺めると意外な発見があったりする。

 長距離でも中距離でも市内に限ってもバス旅を楽しむことができるのが函館市だ。函館バスの路線網が市街地には密に張り巡らされていて、観光名所も含め各所に移動でき、食事や日帰り温泉函館市内には日帰り温泉施設が多い)を楽しむことができる。市街地のバス移動には「市電・函館バス1日乗車券」が便利だ。市街地のバス路線に加え、函館市電の全線と函館山登山バスを利用することができる。

 函館バスの路線網は渡島半島をカバーしており、北は長万部、東は恵山御崎や鹿部、西は江差、南は松前に行くことができる。恵山御崎に行く路線バスは海岸沿いの道をくねくねと走り、太平洋の荒波と活火山である恵山の荒々しい風景を見せ、山中を走って川汲温泉経由で南茅部を経由して鹿部に行く路線では、間歇泉と柔らかい泉質の鹿部温泉を楽しむことができる。

 函館から長万部へ行く路線バスは駒ヶ岳を横目に見て国道5号戦を北上して噴火湾沿いを走り、江差に行く路線バスは鶉温泉を経由して日本海に至り、松前に行く路線バスは津軽海峡沿いに木古内や福島町(千代の富士ら2横綱の出身地)などを経由して春の桜で名高い松前城に至る。函館に接続する鉄道はJR函館本線といさりび鉄道(旧江差線)があるだけで鉄道旅のルートは少ないが、路線バスなら市街地を巡る細切れ移動から中長距離まで多彩な旅を組むことができる。