こんなコラムを2002年に書いていました。
9.11以降、相手の行為をテロ行為と言えば報復が許されるという国際状況が生じた。実際はアメリカの行為を追認するための理由付けだったのだが、これを最大限に拡大解釈したのがイスラエルだ。軍をパレスチナ自治区に派遣し、本格戦闘を始めた。パレスチナ側は正規戦ではかなうはずもなく、個別のテロしか対抗手段はなかった。自爆テロはイスラエル軍のエスカレートを招いた。
シャロンという超タカ派が首相になって、それまでの和平への取り組み、努力が無視され、力によるパレスチナ封じ込め・抑圧がはっきりした。自爆テロは惨い行為だが、パレスチナの人々への抑圧がいかに凄まじいかということを物語ってもいる。どちらの行為がより非人間的、非人道的なのか。どちらもそうだとしか言いようがない。
あまりのイスラエル軍の行為に、とうとうアメリカも仲裁に乗り出したが、腰の引けた仲裁に強制力があろうはずもなく、3月の自爆テロを口実にイスラエル軍は動き出した。一方、サウジがパレスチナ和平への提案を出したが、ここで和平への機運が盛り上がるとシャロンの政権基盤が崩れるのでイスラエルは裏から潰しにかかった。アラファトも同様、自分が建設には向かない人間であることはこの数年ではっきりしたから、恒久的な和平は望まない。
かくして、自爆テロでイスラエル、パレスチナともに戦闘を開始する。シャロンとアラファトはもう少し生き延びる。
それにつけても日本はなあ~んにもしない。少なからぬ人間が無惨に殺されているのに、我関せずと、考えなければならないことは日本国内のことだけだという状況。イスラエル軍の行為を政府はどう見ているのか、サウジの和平案を支持するのかなど、国会で議論したっていいだろう。