望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

再び集まるのだ


 おっ、揺れているぞ。とうとう来たか! 関東大震災が。と身構えて、ラジオの速報を聞きますと、なあーんだ、震度3か。なんて、つい思ってしまうほど地震が多いのが日本なんですね。震度3では、新聞でもベタ記事にしかなりません。この広い地球上で、日本の位置は地震の“最前線”にあるというのですから、日本人が地震慣れするのも当然かもしれませんね。



 大きな地震のたびに、「震源がどこで、断層がどうこう、プレートがどうこう」などの解説がマスコミから流れます。日本周辺は、よっぽど、もろい地層なのかと思いたくもなりますが、太平洋の西端にあるという位置が問題だというんですよ。というのは、太平洋の海洋底が年に数センチずつ動き続けて、日本は押されているんだそうで。



 太平洋の海洋底がユーラシアプレート東端の日本の近くで地中に沈み込むんだそうですが、5~8キロ程度の厚さの海洋地殻が30~50キロ程度の大陸地殻を押すことになり、押されても大陸地殻は動こうとしませんので、歪みがたまるそうで。地震が多くなるんですな。



 なぜ海洋底が動くかといいますと、海の底に新しく地殻を次々に作り出している場所があって、誕生した新しい地殻が広がるというんです。太平洋でいいますと、メキシコから南米大陸沖にかけての東太平洋海底で太平洋プレートが形成され、それが西のほうへ動き、日本海溝からマリワナ海溝で沈み込むんだそうで。



 年に数センチ動くといっても、実感はありませんね。でも例えば太平洋プレート上にあるハワイは徐々に日本に近づいているんだそうで。そのうち日本からフェリーで簡単に行くことができるようになるかも、なんて期待したくなりますが、それは5千万年ぐらい先のこと。おまけに、日本に近づいたハワイは日本海溝に沈んでいくというんですから、ハワイを楽しむのは今のうち?



 それだけじゃありません。インド洋からオーストラリアの南にかけての海底にも地殻が誕生している地帯があるんだそうで。ということは、オーストラリア大陸は北のほうに押されて動いているんですね。ユーラシアプレート南端のインドネシアの沖でオーストラリア・インドプレートは沈み込むんだそうですが、ここら辺りも歪みがたまるんです。04年にはスマトラ島沖で大地震がありました。



 北上して来たオーストラリア大陸は日本列島に衝突するんだそうです、5千万年先のことですが。その時は、日本とオーストラリアで連邦でもつくるかとノンビリ構えるわけにはいかないようで。ボルネオ、フィリピン、日本列島は、ユーラシアとオーストラリアに両側から圧迫されて巨大山脈になるというんですよ。きっとヒマラヤ山脈なんてめじゃない立派な山々になるかも。



 さらに2億5千万年後には、西進して来た北南米大陸のアラスカ付近がカムチャッカ半島とくっつくというんです。その時にはユーラシアの一部にアフリカもなっているんだそうで、南極以外の全ての大陸が徒歩で行き来できるようになるんですね。超大陸が誕生するんですから、めでたいと言っていいのかどうか、よく判りませんが、どんな世界になっているのか見てみたい気もしますネ。



 超大陸は過去にもいろいろあったそうで。集まって超大陸ができたかと思うと、分裂して、また、より集まって超大陸になるということを繰り返しているんだそうです。確かに年に数センチの移動でも、数千万年、数億年分が積み重なると膨大な距離になりますからね。そんな地球に生きている人間……。温暖化なんてナンボのもんじゃと、何やらおおらかな気分になりかけますが、人間にはやはり、身の丈にあった生き方しかできないようで。