望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





地球規模で活動期?


 東日本大震災は、日本列島が乗っているプレートが、北西へと動き続けている太平洋プレートに押されて、その圧力で日本海溝付近で歪みが溜まり、プレートが壊れたり、動いたりしたため起こったとメディアで解説していた。日本列島付近は複数のプレートがぶつかり合っている場所で、世界の地震の2割を占めるほど地震が多発するのは、そのためだ。



 大きな地震が起きるたびにプレートテクトニクスの解説を目にする。ただ日本列島付近の図しか示されないことが多いので、地球全体の地殻が動き続けているということを忘れがちだ。地球表面には十数枚のプレートがあり、それぞれが移動しているので、押し合ったり、隣のプレートの下に沈み込んだりしている。



 プレートが動くのは、地下から継続してマグマが湧き出して新たなプレートを誕生させているからだ。大西洋の中央海底には北から南まで続く「割れ目」(中央海嶺)があり、プレートが生み出されている。そのため海底は広がり、大西洋は今も拡大を続けている。もともと地続きだったアフリカ大陸と南アメリカ大陸は約2億年前に分離を始め、分離したところに海水が流れ込み、大西洋が誕生した。



 太平洋でいうと、南アメリカの西方海底からオーストラリアの南を通り、インド洋で2つに別れ、北側はアフリカの紅海まで続き、南側はアフリカの南を通って大西洋の中央海嶺につながる「割れ目」があり、新しいプレートを生み出している。そため、太平洋プレートは北西に圧力を受け、オーストラリアもインドも北向きの圧力を受けて、動き続けている。



 日本は、日本海溝から千島海溝にかけて太平洋プレートから北西向きの圧力を受け、関東・中部ではフィリピンプレートから北向きの圧力を受け、新潟から中国、四国北部、九州北部が乗るユーラシアプレートは東南向きに動き、北海道から東日本が乗る北米プレートは西向きに動き、中部日本から四国、九州南部が乗る南海マイクロプレートは圧迫されている。地震が多いはずだ。



 気がかりなのは、中央海嶺のマグマの湧き出しが活発化している懸念があること。大西洋や太平洋南部、インド洋南部などの「割れ目」で新たなプレートが従来より多く生み出され始めると、プレートを押す圧力が高まり、やがて、プレートの先端で地球内部へ沈み込む地点(海溝など)の歪みが増大して、大きな地震が多発したり、火山活動が活発化する。スマトラも海溝が近くにあり、三陸も海溝が近い。



 マグマの湧き出しが活発化しているかどうかを判断するには、詳しい観測結果を待たなければならないが、もし活発化しているとなると、地球規模で地殻変動の活動期に入っていると見るべきだろう。