望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





家庭のストレステスト


 福島第一原発が重大な事故を起こした後に原発のストレステストが行われた。さぞかし厳しいストレス(負荷)をかけてチェックが行われているんだろうと受け止められたようだが、ストレスがくっついてもテストはテストなんだから、負荷や合格ラインの設定次第で、いくらでも、厳しくも甘くもできる。



 ストレステストはどういうものか、家庭を例にやってみよう。4人家族で、夫はサラリーマン、妻は専業主婦、2人の子供は小学生で、持ち家のローンを抱え、妻はパートで働くことを考えているとする。そんな家庭に、様々なストレスが降り掛かってきたと想定してみる。そうした場合に、どれだけ家庭を維持して行けるか。



 負荷1)夫の勤務する会社が経営不信で、ボーナスはカットとなり、残業手当もつかなくなり、収入が大幅に減った場合ーー出費を抑え、家計を切り詰め、妻がパートに出ることが対応策の主なものだとして、どれだけ家庭を維持して行けるか。



 負荷2)会社が大幅なリストラを始め、夫が対象となって解雇された場合ーー夫が再就職できない時には、無収入状況が続く。家計を切り詰め、妻がパートを始めたとして、それまでの蓄えと妻のパート収入だけで、どれだけ家庭を維持して行けるか。



 負荷3)解雇された夫にガンが見つかり、入院・手術して、長期間働くことができない場合ーーガン保険等に加入していなかったので、家計を切り詰め、妻がパートを始めたが、夫の入院・加療費支出などの支出を余儀なくされ、蓄えは減るばかりになった時に、どれだけ家庭を維持して行けるか。



 負荷4)解雇された夫にガンが見つかり、入院・手術して、長期間働くことができず、妻も病弱でパートに出ることができない場合ーー家計を切り詰めて、それまでの蓄えだけで、どれだけ家庭を維持して行けるか。



 負荷5)解雇された夫が多額の借金を抱えており、解雇とともに取り立てが厳しくなり、持ち家を売却して借金を返したが、ローンはまだ残った場合ーー愛想をつかさずに妻はパートに出て、家計を切り詰めたとして、どれだけ家庭を維持して行けるか。



 ストレステストは、負荷の設定次第で、どのような結論でも導き出すことができる