こんなコラムを10年以前に書いていました。
見ん見んゼミ 「ヤクザ映画では、ベラボーに強い主人公が流れ者という設定がよくある。事情があって旅に出た流れ者が、ある町である組に草鞋を脱ぐ。その組がもめごとに巻き込まれた時には、流れ者は先頭に立って体を張らなければならないってのがヤクザの掟だ」
白クマゼミ 「一宿一飯の恩義ってヤツかね。でも、ある人が襲われているところに、来合わせた流れ者が助けに入り、仲良くなるってのもよくある展開だ」
見ん見んゼミ 「その助けた人物が、流れ者が世話になっている組と敵対する組に草鞋を脱いでいたり、関係者だったりして、やがて対決せざるを得なくなるってのもよくある展開だ。心情面でも主人公は追い込まれ、映画の観客はハラハラして観るってことになる」
白クマゼミ 「一宿一飯の恩義と友情、どちらかを選ばなければならなくなるが、一宿一飯の恩義を捨てるとヤクザ社会では生きていけなくなる。主人公のジレンマが高まり、映画はクライマックスに差し掛かる。一宿一飯の恩義ってのは、重いんだな」
見ん見んゼミ 「タカ派を集めた安保・防衛力懇談会が、専守防衛の見直し、集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力の検討、武器輸出三原則の緩和などを提言した。ここで考えてみたいのが集団的自衛権。米へ向かうミサイルを座視するのかとか、米軍が攻撃されていても日本の自衛隊は座視するのかなどとの批判があって、集団的自衛権見直しへの地ならしが行われていた」
白クマゼミ 「米軍は日本に無償で基地をおき、おまけに日本政府の思いやり予算が毎年２千億円以上ある。例えばキルギスは、自国内の米空軍基地の閉鎖を求めていたが、米が基地使用料を３倍以上に引き上げて払うことで存続を認めた。日本はさらに、沖縄駐留の米海兵隊のグアム移転で家族住宅建設費用も出すなど、いいカモでしかない」
見ん見んゼミ 「何かの時に米軍が日本を守るからこそ、日本が金を出している意味があるのであって、集団的自衛権行使を容認して、日米『対等』の立場での相互防衛条約にするのなら、思いやり予算廃止はもちろん、日本の国土におかれている米軍基地の土地使用料を米から徴収するべきだ。一方的に日本が米側に金を出し続けながら、集団的自衛権を持ち出すのは、米にとっては好都合の議論だ」
白クマゼミ 「タカ派とか保守派によくあるのが『愛国者ぶった売国奴』ってパターン。北朝鮮や中国、ロシアなどの脅威を強調して、日本を米に都合のいい状況にするってヤツだ。米は日本に、一宿一飯の恩義があることを日本人は意識すべきだ」
見ん見んゼミ 「問題は、米が渡世の掟を守るのかということだな。日本がいてくれと言うから基地を置いていたとか、日本が資金を出すというから受け取っただけだとか言って、恩義なんて感じてくれそうにない気もする。とんだ流れ者を日本は引き受けたのかもしれないな」
