ポチ 「我々にもプライバシーってのは、あるのか?」
ラッキー「もちろんだ。我々にも他犬には知られたくないことはある」
ポチ 「そうかなあ。おまえは先月、公園で花屋のピッピと、えらいホットだったじゃないか。たしか去年は横丁のマルが相手だったのに」
ラッキー「おまえだって先月、中学校のグラウンドで真っ昼間、スイート相手にコトに及んで、窓から見ていた皆に笑われていたじゃないか」
ポチ 「……どうにも我慢できない時もある。俺が聞きたいのは、他犬に知られたくないプライバシーって何だ、ということだ」
ラッキー「それは犬それぞれだ。タレント犬なら、結婚式でも家族のことでも何でもマスコミに売れるものは売るだろうから、マスコミに売れないものor売らないものをプライバシーと言うのかもしれない」
ポチ 「すると、プライバシーの客観的な基準というものはなく、当犬がどう思うかによって、プライバシーの範囲はどうにでも変化するということか。ずいぶん好都合なものだな」
ラッキー「離婚をネタにするタレント犬も珍しくないんだから、離婚そのものがプライバシーだなんて、とても言えないや」
ポチ 「プライバシーを売ることもあるタレント犬や政治犬など“公的”存在にはプライバシーはないとしてもだ。一般の犬は、マスコミから狙われたなら、弁明も反論もする場がない。一般の犬にはプライバシーがあるのじゃないか」
ラッキー「その気持ちは尊重されるべきかも知れないが、一般の犬にとってもプライバシーというのは主観的なものでしかない。それこそ、開放的か閉鎖的かなんて性格によってもプライバシーの範囲は犬個々によって、かなり違ってくるだろう」
ポチ 「だから、民間どうしではプライバシーについては個々に争うしかない」
ラッキー「そう。憲法に書いてあるプライバシーの尊重とは、国家権力が個人のプライバシーを尊重しなければならないという意味だ。民間どうしのことと混同しちゃ間違うぞ」