望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

愛国から憂国へ

 こんなコラムを2004年に書いていました。

愛国ボーイ「嬉しいね。だんだん、良き日本に戻って来た」

馬おじさん「強制と愛国の狭間にしか生きる場がない、なんて社会になりそうだ。跋扈する愛国者達と、息を潜める多数、か」

愛国ボーイ「戦後民主主義で骨抜きにされた日本人が、ようやく目覚めつつあるんだ」

馬おじさん「その戦後民主主義は、この前の戦争にぼろ負けしたから、アメリカから押し付けられたーというのが愛国者を自認する者達の共通認識だったはずだが、戦後民主主義を否定して、その前にアメリカにぼろ負けした体制を肯定するというのも、なんだか情けないなあ」

愛国ボーイ「しょうがないだろ。国家主義全体主義も民主主義も西洋からの輸入ものなんだから。愛国者は、民主主義を否定した後には、使い古しの国家主義全体主義を持ち出すしかない」

馬おじさん「だいたい右翼がだらしない。戦後民主主義日本国憲法日米安保条約は1セットのものなのに、日米安保は棚上げにして、戦後民主主義日本国憲法さえ否定すれば、日本の自主独立が達成されるかのように錯覚している。アメリカのクビキを脱してこそ、自主独立した日本があるのだ」

愛国ボーイ「今の愛国とは体制順応のことだから、右翼とも戦前の愛国とも違う」

馬おじさん「確かにそうだな。戦前の愛国者は、腐敗・堕落した政治家、官僚、経済人に厳しい目を向けていたが、今の愛国者なる連中は、堕落し切った政治家らへの批判がない」

愛国ボーイ「今は転換期だから、そこまでの愛国意識はまだ育っていない。だがね、このまま愛国ムードが社会にまん延し、定着すると、本来の愛国者が育つ。日の丸を見つめ君が代を斉唱する彼らの中から、いつか憂国者が出て来る。憂国者は愛する国を救うため、天誅が必要な時には、ためらうまい」

馬おじさん「愛国から発した社会批判の目がいつか、腐敗・堕落した政治家、官僚、経済人に向かうことを今の政治家らは承知しているのかなあ。そこまで考えずにムードに浮かれているだけのように見える」

愛国ボーイ「いったん愛国・憂国の動きがうねりを持って動き始めたなら、誰にもコントロールできない。天誅こそ愛国者の至高の行為だと言い始めるぞ」