望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

様々な口径

 「餃子の王将」運営会社の社長が2013年に京都の本社前で射殺されたが、犯行に使用されたのは25口径(直径約6.35ミリ)の自動式拳銃だった。この25口径の拳銃は専門家によると、ポケットに入れて簡単に持ち運べる小ささで、海外では主に護身用に使われるが、発砲音が小さいため「待ち伏せに最適」だという。38口径(約9.65ミリ)に比べて殺傷能力は劣るが、“プロ”が使う時は至近距離で複数回撃つという。



 事件後には、使用された銃が22口径(5.56ミリ)だとの情報も流れた。22口径も護身用とされるが、25口径よりも威力が小さいとはかぎらず、火薬が多い弾では爆発力が強いので殺傷能力はある。33人が死亡した米バージニア工科大学の乱射事件で犯人が使用した拳銃の一つが22口径だった。



 22口径という言葉ではなく「5.56ミリ」が使われたのが、南スーダンで韓国軍に銃弾を陸上自衛隊が提供したことの報道だった。この銃弾は「5.56×45ミリNATO弾」で、同国で展開する各国PKO部隊で5.56ミリ弾を使うのは日米韓だったため、日米が提供したという。



 口径(銃身の内径)の表記が分かれるのは、ヤード・ポンド法を使う英米流では22口径、38口径などの表記になり、欧州ではメートル法を用いて、口径×薬莢長で表記するため。軍用ではNATOが小火器用弾薬の標準化を行い、欧州流の表記だったが、それを多くの国でも使用するようになったようだ。



 軍用で5.56ミリ弾が主流になったのは、アサルトライフル(突撃銃)と呼ばれる自動小銃を採用する国が増えたためだ。ミハイル・カラシニコフが設計したAK47が高く評価され、東欧や中国など共産圏でも生産された。米軍もM16を開発し、このM16が5.56×45ミリ弾を使用していたため、西側陣営では5.56mm×45ミリ弾を使用した自動小銃が採用されたという。



 敵兵を殺すためには口径の大きな銃弾が有利だが、より多くの敵兵を負傷させて、救助介護を含めて敵の戦力低下を狙う現代の戦法では、セミ・フルオートで撃ちまくることができるアサルトライフルが有効だということらしい。口径が小さくなれば兵は、より多くの銃弾を持つことができるので戦闘力は上がる。



 拳銃弾よりライフル弾(軍用も含む)は細長く、より多くの火薬を詰め込んでいるので威力は大きい。それぞれに様々な種類・形状があり、例えば22口径の拳銃弾といっても、人体に対する破壊力が大きな銃弾もあるといい、奥深そう(専門家かマニアの世界だな)。