夏の猛暑は本州以西では毎年のことだが、今年は北海道でも連日、最高気温が30度台後半という猛暑日が続いた。この猛暑は、偏西風が北へ蛇行し、北海道を含め日本列島が太平洋高気圧に覆われ続けたことと、太平洋高気圧の上層には大陸のチベット高気圧が張り出し、二重の高気圧がそれぞれ暖かい空気を吹き下ろしたため、晴天が続き、猛暑が続いたとされる。
欧州でも猛暑となり、スペイン南部では最高気温が46度となり、フランスやポルトガルでは最高気温が40度を超えた地域があり、欧州の12都市で約2300人が6月23日〜7月2日の10日間に熱波が原因で死亡したとの推計が出ている。ジェット気流が弱まり、強い高気圧に覆われ続けたことに加え、平均水温が最大9度上昇した地中海から供給される熱があり、猛暑が続いたとされる。
温まりやすく冷めやすい陸地より海のほうが熱を蓄える。「1971年〜2018年の48年間で気温の上昇や氷の融解などを含む地球上のエネルギー増加量の約56%が海洋の表層(海面から深さ700mまで)に、約35%は海洋の700mより深いところに蓄えられた」「海洋貯熱量の増加は海水温の上昇を意味」する(気象庁)。
日本近海でも海水温が上昇し、漁獲量の減少や魚種の変化をもたらしているとされる。日本近海の「2024年までの海域平均海面水温(年平均)上昇率は100年あたり+1.33℃の割合。 この上昇率は、世界全体で平均した海面水温の上昇率(100年あたり+0.62℃)よりも大きく」、海域別では「オホーツク海南部、日本海、北海道南東方で引き続き海面水温が平年よりかなり高く」「本州東方、東シナ海北部、四国・東海沖で海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小したが、引き続き広い範囲で平年より高い」(2025年、同)。
かつて「日本は周囲を海に囲まれている。海は陸地より温まりにくいから、温暖化を過剰に恐れる必要はない」旨の主張があった。実際に日本近海で海水温の顕著な上昇が観測されている現在、周辺の海洋から供給される熱により、日本において夏の猛暑などが今後も続く可能性がある。さらに、猛暑の熱が広大な海洋に毎年蓄熱されることにより猛暑の程度が増すだろう。
関東の内陸県に住む友人は、「猛暑にはクーラーだけが頼りだ。クーラー使用の増加による排熱量の増加が猛暑に拍車をかけている気がするが、猛暑には勝てない」と猛暑に抗することを諦め、増加する電気代のことは考えないことにし、「生き延びる」ことを最優先にせざるを得ないと言う。そんな友人が、宮沢賢治の詩をアレンジしたという次のような自作を披露した(一部省略)。
雨にも負けて/風にも負けて/雪にも夏の猛暑にも負けて/自然には抗えない脆弱な体を持ち/欲はなくならず/いつもSNSの話題に振り回される/あらゆる事で自分の利害を勘定し/関心を持つ情報だけを見聞きし/批判されたら忘れない/東に投資話があれば一口加わり/西にスキャンダルで消えたタレントがあれば面白がり/北に戦争があれば勝てそうな側につく/日照りの時は天を恨み/猛暑の夏はオロオロ歩き/皆にデクノボーと呼ばれ/誉められもせず苦にもされず/そういう者に私はなりたい、か?