望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

難民さん、いらっしゃい

 日本政府が難民受け入れを渋っているということは以前から知られていたが、日本国内で政府方針への批判は高まらなかった。欧米などに向かう大量の難民の生活の困難さ、悲惨さが報じられるが、日本が積極的に受け入れるべきだなんて議論はない。

 外国人が民間アパートをなかなか借りることが出来ないという日本社会。日本社会に難民も含めて広く外国人を受け入れようというコンセンサスがないのだから、空回りしている感は否めない。技能実習生として外国人の労働力導入は制度化されているが、「使い捨て」の労働力と見られている気配だ。

 人間は地球上で自分の意志で住む土地を選ぶことが出来るーという暗黙の了解が、日本にはないのかもしれない。大陸の国々では人は国境を越えて移動するのが当然だった。大昔から内乱やら戦争やら飢饉やらで人々は移動してきた。国境だって不変のものではなかった。アメリカだって、ネイティブ以外は皆移民だ。

 しかし、日本は島国。皆同じ日本人だと思い込んでいる。それが正しいかどうかは別に論じるとして、経済はグローバルにやって稼がせてもらうけれど文化・社会的には日本は独自なのだから「敷居を高くします」というのは通じなくなってきている。幕末、敗戦に次ぐ第3の開国が必要だ。難民も含めて日本に住みたいという人々を広く受け入れ、新しい日本を作る方向へ向かうことが、沈滞した経済、社会の打破に必要なのではないか。