望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

ニューフェイス

 こんなコラムを2002年に書いていました。

 デフレ不況は続き、景気回復はいつになることやら。不良債権にアップアップの銀行がいつか立ち直り、不況を脱することができたとしても、世界経済の構造変化は進んでおり、日本は安定成長がいいところ。高成長は望めまい。

 そんな世の手本となるように、貧しくとも自分の生きる道を進み、成果を残した樋口一葉野口英世を紙幣の肖像に採用した…と勘ぐりたくなるような今回の人選である。

 樋口一葉の採用は、男女共同参画社会の推進を意識したと日銀・政府は言っているとか。野口英世については、「日本の科学技術を世界にアピールする狙い」と財務省がする。どちらも真に受ける必要なし。後から付けた理由であることは明白だ。樋口一葉フェミニズムの活動家ではなかったし、野口英世の業績は科学技術という括りで語られるべきものではない。

 つまり、この人選の本当の理由は明らかにされていない。福沢諭吉のみ1万円札に残った理由も、比較的偽造されにくいため、とこちらも理由にならない理由。精巧な1万円札が出回った偽造事件があったのに、よく言うよ。福沢諭吉については、変更せずという決定が事前にあったんだろうな。いらぬ詮索はともかく、せっかく登場したのだから樋口一葉野口英世には遠慮なく我が家を訪れてほしいものだ。歓待するからさ。

 ところで、こんな紙幣があったら面白そうと、いくつかバリエーションを考えてみた。

 1万円札が平将門、5千円札が幸徳秋水、千円札が大杉栄=世の中に異論ありっていうトリオ。1万円札が大河内伝次郎、5千円が坂妻、千円札が嵐寛=ちゃんばらの正義の味方トリオ。1万円札が宮下順子、5千円札が白石和子、千円札が愛染恭子=うっふん発情トリオ。

 1万円札が坂本龍馬、5千円札が河合継之助、千円札が吉田松陰=もう少し生きていればなあトリオ。1万円札が由美かおる、5千円札が小泉今日子、千円札が藤原紀香=オナペットトリオ。1万円札が宮沢喜一、5千円札が小渕恵三、千円札が橋本竜太郎=国債たれ流し増発トリオ。