望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

外国勢力の影響力

 旧統一教会自民党などの国会議員や地方議会議員たちと広範に接触し、関係を構築していることが次々に暴かれ、それらの議員たちは神妙な態度で「今後は関係を持ちません」などと釈明に追われている。こちらも新型コロナウイルスの陽性者と同様の「探せば見つかる」状況だったようで、ネタが「探せば見つかる」のだからマスメディアは張り切っている?

 旧統一教会自民党などの国会議員や地方議会議員の選挙運動を手伝って、当選した議員たちを旧統一教会関連の催しなどに来賓として招いたり新聞など関連媒体に登場させて、旧統一教会の社会的認知をアピールするために利用していただけなら、自民党を支援する多くの宗教団体なども同じようなことを行っているだろうから、日本の政治の構造として特に警戒を要するものではないかもしれない。

 だが、旧統一教会が、選挙運動に関わって「当選させた」議員たちや自民党に影響力を有するなら、自民党(政府)の政策立案に関与することができる。報道によると、旧統一教会の関連団体である国際勝共連合改憲案と自民党改憲草案が、緊急事態条項や家族重視条項の新設などで一致しているという。自民党改憲草案の制定過程の検証が必要だが、自民党に検証能力があるのか不明だ。

 自民党改憲草案に旧統一教会が影響力を及ぼしていたとなると、日本の政治が韓国系の宗教団体の影響下にあったことになる。さらに、旧統一教会に韓国政界の影響力があるとすると、日本の政治に韓国の政治家が影響を及ぼしていたことになる。KCIA統一教会の関係は以前から報じられていたが、現在の韓国における政界と旧統一教会の関係はまだ詳らかになっていない。

 米国では2020年の大統領選でロシアがSNSなど使って世論工作し、選挙に干渉したとの米国家情報会議の報告書が公表された。共和党ドナルド・トランプ候補を当選させるために民主党ヒラリー・クリントン候補に不利な情報を流すことなどをロシアが行い、米国における「民意」を歪めた。ロシアには、選挙を混乱させて民主制に対する不信感を米国で広める狙いもあったともみられ、米国内では強い警戒の動きが出た。

 日本でも、SNSなどを使って中国やロシアなど外国勢力の世論工作はおそらく大量に行われているだろうが、社会の警戒心は薄いようだ。だが、韓国政界が旧統一教会を使って自民党やその所属議員に対して影響力を行使していたとすれば、日本の民主主義が歪められたとともに日本の統治機能が損傷したことになる。

 自民党や所属議員に影響力を有していた旧統一教会は、多くの情報を自民党や所属議員から得ていただろうし、それは韓国に流れただろう。「日本は外国のスパイ天国だからスパイ防止法が必要だ」との主張は右派や保守派などから上がっていたが、皮肉にも旧統一教会が韓国のスパイだったとも解釈できる。外国勢力の影響力を日本政治から排除できるかが今回の問題で問われている。