望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

進化する自動回転ドア

 こんなコラムを2004年に書いていました。

 ある年の4月1日、総理大臣官邸に自動回転ドアが新たに設置された。このドアを通らなければ、誰も官邸に入ることはできないようになった。ただの自動回転ドアに見えるのだが、さまざまな機能を持っている。ただし公表されているのは、赤外線センサーによる通過人数カウント機能などごく一部で、ほとんどは秘密にされている。その隠されている機能の全容を紹介しよう。

 まず治安対策面。X線で銃刀剣類、爆薬などの持ち込みをチェック(銃刀剣、爆薬などを隠し持っている人がいた場合、自動回転ドアは該当人物を閉じ込めるタイミングで停止する。自動回転ドアのガラスは超強化硬化ガラスで、回転ドア内でダイナマイトが爆発しても割れないという)。

 入館者の管理面では、携帯電話のチェック機能(微弱な電波で自動回転ドア通過者の携帯電話をリモートコントロールし、過去24時間の通話記録データを転送させる)、顔面認識スキャナー機能(隠しカメラで通過者の顔を撮影、データベース化する)、マーキング機能(データベースと通過者の顔を照合する)、気分判定機能(通過者の気分を脳波測定装置でチェック。怒っている人が来た場合は自動的に回転ドアの速度を落とし、α波を出させるような電波を当該人物の脳に照射する)、アルコール検知機能(吐息などから残留アルコール濃度を測定、酔いが残っている人がいた場合、回転ドアが逆回転し、外に押し出す)、所持金測定機能(紙幣反応透過カメラで通過者の所持金を推定する)。また、リモートセンシング機能というものがあり、通過者の脳に微弱な電波を照射して、操ることが可能だというが、この機能の真偽は不明。

 このほかに、温度センサー機能ではSARSをチェック、吐息自動測定機能ではウイルスをチェック。官邸の自動回転ドアを通る鳥類の鳥インフルエンザ、牛のBSE罹患などもかなりの精度でチェックできるという。ついでに、通過者のヅラ判別機能、雌雄判別機能、整形判別機能、体重測定機能などもあるというが、こうした情報が官邸でどのように活用されているのかは不明である。