望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

コブラ祭りだ!

 ブラックマンバは世界三大毒蛇の一つとされる。他の二つは、キングコブラとオーストラリアに住むタイパン。これらを集めたコブラ祭りが2005年に群馬県のスネ−クセンターで開催され、世界各地から多数のコブラが集まった。

 蛇はなぜ気持ち悪いと見られるのだろうか。細長くてニョロニョロ動き、体に妙なテカリがあってヌルヌルしているように見える。中には毒を持っている蛇もいて危ない。しかし、蛇の体表は乾いていて、ヌルヌルしていない。蛇は地面を動き回るので、体表がヌルヌルしていたなら土やゴミがくっついてしまう。ニョロニョロ動き回るのは彼らの行動様式で、ウサギに跳ねるなと言っても無理なのと同じ。毒については、用心すること。日本ではハブはもちろん、マムシ、ヤマカガシでも咬まれた後、血清などを使った適切な手当てが遅れると危ない。

 蛇には特別な存在感がある(嫌われ感?)。ここから、太古に人間の祖先と蛇の祖先が殺し合いをやった歴史があって、その潜在意識に残る記憶から人間は蛇を嫌うという物語さえある。SFの範疇の話だが、嫌われるのが当然という状況では、犬のようなペットに蛇はなれそうもない。食事の行儀が悪いから嫌われるのか。蛇はネズミ等を頭から丸呑みする。行儀よく座って食べることもないし、よく噛んで食べることもない。しかし野生動物の食事に作法などない。どの動物が上品な食べ方か、なんて考えても仕方がない。

 スネークセンターには熱帯蛇類温室、大蛇温室、毒蛇温室、採毒室、資料館などの施設があり、多くのニシキヘビやガラガラヘビ、キングコブラ、ウミヘビなど各種の蛇が公開されている。数カ所ある野外放飼場には10万匹以上のシマヘビ、マムシがいるという。

 正直言って各施設はかなりくたびれているし、最近のテーマパーク類に比べると、みすぼらしさはぬぐえない。また、展示されている蛇の数がもっと多くてもいいという印象もある。でも、この手作り感(やつれ方も含めて)が、いい味なのかもしれない。

 蛇をよく観察すると、水辺に行って水を飲む様子、餌を食べる様子(1カ月に1回程度だという。小食な奴らだ)、周囲をうかがう様子など、蛇の個体差も感じられ、一つの命なのだと気付かせてくれる。