望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

土地請負経営権


 え~、デフレの時には土地や株などは値下がりするので、資産は現金で持っているほうがいいそうですが、実体経済の落ち込みがこの先、どれほどのものになるのか、まったく見通しがつかないンですから、仕事がポシャって放り出された時に自給自足(?)できるように、どこかに土地を確保しておくのもアリかもしれませんな。値下がりしてるんだし、経済が行き詰まると戦争を始める国があるかもしれないし……。

 

 その土地をめぐって中国で2008年、農民の土地請負経営権(使用権)の制限を緩和したそうです。中国では改革開放政策が始まって農民の土地使用権を認めたんですがネ、地方政府が業者とぐるになって農民の土地を力づくで巻き上げたりして、各地でトラブルが多発したそうです。それで、農民の土地請負経営権の取引制度を整備して集約化を促すとともに、農地の建設用地への転換などは禁止したそうです。



 中国では土地の私有は誰にもできません。だから農民は土地の使用権を与えられた形になっているんですな。共産主義の国だからですが、大きな声では言えませんがネ、共産主義国家が崩壊すると、「誰のものでもなくなった」土地の分捕り合戦が始まったりするんです。ソ連からロシアに移行する過程でかなりエグイことになっていたとか。



 ただ中国は農地の自由な移転(売買)を認めるわけではないようです。アメリカからの輸入に食糧を頼る日本とは違って、穀物は自給する方針のようで。そのため農地の用途変更は禁止して農地を確保しつつ、農民の所得向上など様々な三農支援策を打ち出しました。米欧など輸出先の景気停滞が長引きそうだから、中国の内部体制を固めに動いた……というわけではなく、時期がたまたま重なっただけのようで。



 輸入食糧が値上がりした日本では自給率の低さを問題視する報道が多くなりましたがね、耕作放棄地の多さや農民の高齢化など、早急に政策的対応を要する現実が指摘されたのに、具体策は出てきません。中国と同様、日本も輸出頼みの経済はモロいと明らかになったのにネ。まあ、内需拡大を30年以上前から標榜しながら、輸出頼みの経済構造のままで来たのですから、いまさら農業の見直しなど本気でやるわけがないか。