望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

新聞社は取材費で飲み食い

 え~、新聞社の凋落なんて言われていますな。広告の減少が大きな打撃になっているようですが、新聞を読まない若者が増加し、宅配が減るなど新聞離れが鮮明となり、新聞という事業モデルが「寿命」を迎えたなどとも指摘されています。

 でも新聞社の問題は事業モデルだけではないようでして。2009年に読売新聞東京本社が7年間に約1億円の所得隠しをしていたと東京国税局に指摘されました。報道によりますと、読売新聞社の本社や支局が経費計上していた取材費の一部に、社員同士の飲食費が含まれていたことが税務調査で判明したそうで。

 国税局の判断は「社員同士の飲み食いの費用は税務上は交際費だ。経費として損金算入できない」とのこと。取材費では、2月に朝日新聞社も東京国税局から約3億9000万円の所得隠しを指摘されていたといいますから、取材費で飲み食いするのは新聞社の「慣習」だったのかもしれませんな。

 なるほど、官庁などの裏金に関して、新聞社の報道が妙におざなりで、「探せば出て来る」だろうに、積極的に取材する姿勢が感じられないのは、自分たちも誤摩化していたからか……なんて納得できます。まあ、裏金とは異なり、いちおう「表」に出していただけ、良心的?

 新聞記者が取材費で飲み食いしたいんだったら、お役人を誘って、飲み食いのついでに裏金のことなどアレやコレやを聞き出せばよかった。聞き出しても秘密を共有するだけで、当たり障りのないことだけをいつものように(?)書いておけば波風は立ちません。時には、お役人のほうから裏金を使って飲み食いに誘ってくれるかもしれませんから、コミュニケーションは新聞記者の命だと威張って飲み食いできます。

 「社員同士の飲食費」の詳細が明らかにされず、記者同士の情報交換を兼ねた食事など取材の一環とも解釈できるものも含まれているのかもしれませんがね、記事を読んだだけでは、大手の新聞記者は仲間内の飲み食いのツケを会社に回し、会社は取材費として税金をちょろまかしているような印象を持たれても仕方がないようで。

 実態はどうなんでしょうかね。新聞社など大手マスコミは他者には威勢良く、説明責任という言葉を振りかざしますが、自分らのことについては説明責任を果たそうとはしませんし、互いに説明責任を求めることもないようですな。社会にある不正を暴く「正義の見方」とのイメージが傷つくとでも考えているのかしら。