望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり

「中華民族」のウソ

 中国共産党が支配している西域でウイグル族が騒乱を起こしたと中国メディアが報じたのは10年以上前のこと。何が起こり、どうなったのか、共産党に統制されない「真実」を知りたいところです。取材が規制・制限されているのに、中国メディアは、西側メディアが事実に基づかない報道をしていると批判したそうですが、現地取材は許しません。



 革命戦争はさておくとしても、中国共産党が独裁政治を始めて以来、どれだけの人間が死んだんでしょうね。大きなものは大躍進と文化大革命ですが、天安門事件を始めとして百人、千人単位のものは珍しくないんじゃないか。彼の地では、共産党独裁体制の維持に比べれば人命なんて軽いもの……なのかもしれません。



 血で固めた中国共産党独裁……そこへ、漢族の暴徒にウイグル族がかなり襲われたともいわれます。多数派による「やられたら、やりかえせ」、怖いですね。



 中国人の9割以上、12億人以上が漢族だそうです。中国には55の少数民族があるそうですが、ウイグルチベットなどの例を見ると、少数民族とは中国では、漢族に支配され、「中華民族」として同化・吸収される対象のことのようです。満州族がいい例かもしれません。



 民族なんて概念にとらわれ続ける必要はありませんし、ある民族が歴史の中で「消える」こともあるでしょうが、強権により「消える」ことを強制されるのは別問題。歴史は、強権による弾圧により民族意識がかき立てられることを示していますが、さて中国ではどうなりますかね。ウイグルチベットともに弾圧されるほど、自治という選択肢の魅力が薄れ、独立を志向するように追い込んでいるとも見えます。



 中華民族とは、漢族にとっては「天国」、他民族にとっては「地獄」なのかもしれません。いえね、特別なことではありませんや。支配とは、そのテのものですから。ただ、その中華民族というウソを、漢族がウイグル族を襲ったことで破壊したりするのですから、皮肉ですね。