望潮亭通信

無常なる世界を見るは楽しかり





何でも内政問題


 え~、日本は内向きだと海外からは見えるようで。そういえば、外交問題が生じても、いつの間にか野党の政府批判のネタにされて、挙げ句の果ては閣僚のクビを取る道具にされたりしましてね。政党は互いの理念や政策を競うこともなく、外交問題与野党の駆け引きという政局のワクの中に納められたりして。



 外交とは、相手国に自国の影響を及ぼすように図ることが目的なんでしょうがね、日本の一連の外交問題に対する政党の対応を見てると、相手国に影響を及ぼすことよりも、国内の世論の動向を気にかけて、内政問題にしてしまっているように見えますな。



 尖閣諸島のことにしても北方領土のことにしても、外交での解決または緊張緩和を目指すというなら、党派を超えた意思の共有が必要かもしれません。それなのに……尖閣諸島北方領土をめぐる日本の国会での議論を見ていて、中国やロシアは安心したでしょうな。彼らに背中を向けて、日本人は互いに批判し合っているばかりだ、と。



 例えば対中でも対米でも、どのような外交関係を目指すべきかとなると、意見は割れるでしょうがね。日本が不利益を被らないよう、共有する最低限の意思、それが国益というものでしょうか。国益という言葉は、その定義や意味するところを曖昧にしたまま使うと、時には弊害が大きくなりますから、議論を積み重ねることが必要でしょう。



 外交における国益認識が共有されず、党派によってまちまちの意味で使われているなら、真の国益ではなく、党派益でしかありませんや。



 しかし具体的に国益を論じ始めると、奥が深そうなことは確か。例えば日米関係。米国と友好関係を維持していくことは日本の外交の基本でしょうが、対米従属、対米依存などと揶揄される関係では、日本の立つ瀬がありません。かといって、対等、対等などと力んでみても、言葉だけで内実が伴わなければ適当にあしらわれるだけでしょう。



 目指すは、政治面でも経済面でも安全保障面でも各国と互いに必要とする関係を維持することなんでしょうがね。日米関係において、それらが具体的に何を意味するのか。時代は常に変化してますから、その時々で議論を積み重ね、認識を共有することが必要なんでしょうな。これからは何度も政権交代は繰り返されるかもしれませんから、共有の必要性は大でしょう。